研究報告
海女の健康に関する研究—第1報 既往症と自覚症状について その1
西 正美
1
,
多賀 宏子
2
,
狭間 恵美子
,
正吉 不二子
,
本邑 貞子
,
寺下 佐和
,
白木 ちの
1石川県輪島保健所
2石川県保健予防課
pp.77-80
発行日 1967年5月10日
Published Date 1967/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203940
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職業病として各種の産業中毒などにメスが入れられ,また近年農業従事者に共通して発現する症候群を総称して農夫症と名づけ,その原因究明と対策に取り組む傾向が強くなっている。組織労働者の安全衛生管理は,その組織力によってかなり向上しつつあり,また,農村における健康管理は,実現にはなお道は遠いが,農夫症研究を緒とする態勢は徐々に作られている。
農業に匹敵するかあるいはそれ以上の過重な労働条件にありながら,従事人口が少ないため,各学会から看過されている職業の一つとして海女がある。漁業には零細な沿岸漁業から遠海に進出している大企業まであるが,沿岸漁業のうちでも小舟をあやつり,あるいは貝金を唯一の道具として潜水し,海産物を捕獲することを業とする海女の健康管理は全く放置された状態である。著者らの保健所管内に海女を生業とする人たちが在住するが,海女たちの健康管理は全く省みられることなく肉体的に一見逞しく見えながら,比較的若年で海女を業としなくなり,また老化現象の発現が早いといわれるような状態にある。これら海女を業とするものについて,健康実態を把握し,その対策をたてるため本研究を行なうこととし,まず,既往症と自覚的身体異常の訴えについて調査したのでその結果を報告する。
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