症例
蟯虫症の自覚症状調査について—第5報
高橋 克巳
1
,
灘波 豊愛
1
,
阿部 輝明
2
1福岡県衛生研究所
2福岡市当仁小学校
pp.241-247
発行日 1961年4月15日
Published Date 1961/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202399
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I.はじめに
近時,Scotch-tape法に依る蟯虫卵検査法の確立普及に伴い,蟯虫の甚だしい淫浸蔓延が認識されると共に,他方Plperazin,Dithiazaninの登場により,その集団的駆虫が比較的容易に行われるようになり,両者相俟つて蟯虫の駆除予防に対する関心が一般に昂りつつある現状にある。然し乍ら,蟯虫の寄生に依る病害については必らずしも明確でなく,唯自覚的,他覚的障害は極めて少いとされ,これに就いての,笠原1),沢田2),林等3)赤木4),柴崎5),斉藤6),池田7)等の諸報告も,主として少数特定群の観察や,あるいは特異症例の報告に留り,多人数集団に於ける一定期間内の各種症状の発現頻度を,蟯虫卵陽性群(以下陽性群と略す)と蟯虫卵陰性群(以下陰性群と略す)に分けてその対比に依る比較検討と,更に蟯虫駆除後の症状発現の変化等を詳細に調査した報告はないようである。私共は斯る方法によつて可及的に精密詳細に,蟯虫症自覚症状発現の質的量的問題を調査検討し,興味ある所見を得たので以下その成績を述べる。
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