口絵
志摩の海女
pp.2-4
発行日 1959年4月10日
Published Date 1959/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201834
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
伊勢の志摩に行くと,どこに行つても海女の姿を見かける.過労な仕事をしている割に彼女達は大変元気で,結核や風邪もほとんどないと云われている.海岸でとりたての生きのいいアワビや魚の焼いたのを常用しているのが,健康源となつているのではないかと云われる.
海女の作業にはカチドとツナドの2種があつて,カチドは桶についたナワを腰に巻いて自力で10米内外までもぐるのであるが,ツナドは夫婦一組づつの共同作業である.船べりに万力車を据えつけ,海女は腰に1本の命綱を巻いて錨の重みで海中深く20〜30米までも潜入するのである.従つてカチドより獲物も多いが潜つている時間はせいぜい2分間ぐらいであるという.海女が海で作業するのは時期があつて,大体3月から5月まではアワビ・ワカメ.6月はアワビ・天草.7〜8月はアラメ・カジメ.10月は伊勢エビの採取であるという.この地方の保健婦さん達は,海岸に休憩中の海女を訪れて,健康についての相談を受けている,特殊な職業であるだけに姙娠の指導などは大変だという.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.