Medical Hi-lite
アニサキス病
H. Y
pp.58-59
発行日 1966年7月10日
Published Date 1966/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203699
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食生活のなかに
ここ数年において大きな話題の1つは新しい病気アニサキス病である.この病気は,私どもの日常の食生活にきわめて密接したしかも食品衛生または公衆衛生の上からも必ずしもなおざりにできないものであるのでここに紹介しておきたいと思う.この病気は簡単にいえば海の魚の寄生虫,ことに蛔虫の一種であるアニサキスという小さい糸状の虫(線虫という)によって起る胃腸の壁に小さな"こぶ"(腫瘍というが)を作る病気のことを指していうのである.これまで海の魚の寄生虫はほとんど無害であろうと考えられてきたことに1つの大きな波紋が投げかけられた.読者のかたがたは,すでに海の魚ならぬ河川湖沼に棲む雑魚(淡水魚)の生料理(刺身,あらいなど)によって肝臓ジストマなど数種のジストマ(吸虫)にかかることはよくご存知であろう.しかし,海の魚については多くは知らされていない.日本人の蛋白源,栄養源としてたいせつな海の魚にも思わぬ伏兵があることに思いをいたさねばならないことになった.
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