読者からの手紙
"住民から学ばせてもらう"姿勢を
坂本 弘
1
1三重県立大学医学部衛生学教室
pp.9-10
発行日 1965年7月10日
Published Date 1965/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203424
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4月から,今年も新卒保健婦がフィールドで活動を開始した.ある意味では,この新卒者の保健婦活動への参加態度こそが現在の保健婦教育の持っている問題点を端的に示すものであろう.このような立場に立ってみると,S氏の指摘するように,教育の体系化や寄宿舎制度にもたしかに問題はあろうが,もう一つ前に,保健婦教育看護婦教育にたずさわる教育者自身に問題があるのではなかろうか.「保健指導が標準的指導に終止するのでなく,個性に適した指導の応用力を付加する」ことが重要であるというS氏のご意見に原則的に賛成であるが,そのように教育するには,単に制度や教育技術の問題としてではなく,教育目標—どんなポーズで活動する保健婦を作ろうとしているのか,が根本的に問題となる.
保健指導という名で表現される業務には,大別して二つの質的に異なるポーズがある.すなわち,①健康を維持するまたは疾病に対処する方法を教え,さずけ与える.②住民みずからが健康を維持するための努力や活動に助言し,支援する.というものである.この二つのポーズのうち,新卒者の多くは①のポーズをとる.本年1月号本誌に「保健婦活動=今日の混乱から明日をめざして」の拙論の中で,教育における課題という項を設け,保健婦学校へ進学した理由調査の結果にふれておいた.
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