特集 国保保健婦
活動の中から
看護活動への認識を深めて
小林 富美栄
1
1元厚生省
pp.11-12
発行日 1964年12月10日
Published Date 1964/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203267
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最近私はよく"保健婦業務はこれでよいのだろうか"とか,"これがほんとうに保健婦として,私がする仕事なのだろうか"というような意味の感懐をききます.仕事をする態度として"これでよいのか"という自省的なものをもつことは,問題を意識して,進歩する過程としてのぞましいことです.しかしこの態度も,仕事を展開してゆく動機づけになっている間は,多少のむだはあってもひじょうによいエネルギーの使い方ができるのですが,仕事の目的の明確さを欠いてきて,自分の方向を見失うことになれば,単なる抑圧的作用となって私どもは苦しみます.それは,自分の考えているあるべき姿と,現実に自分が実行していることとの矛盾からくるかっとうに打ち勝つことができないからですが,保健婦の現在の自省的な態度の中には,こういう悩みの要素があるのではないかと思います.そしてこんな状態が広く特に著しくあらわれることが,今までも2〜3回ありました.たとえば,終戦後家庭訪問指導について,しかも家庭で看護をすることを強調された時に,一様にそういう方向に向って進んでいったのですが,そのうちに公衆衛生問題の拡大とそれに伴なわない資源量のために,保健婦はどういう看護行為をすべきかになやみました.
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