読者からの手紙
看護学生の保健所実習の記録から
中川 和子
1
1大阪市東成保健所
pp.65
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203090
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東成保健所で過日実習を終えた看護学生の記録をよんで,最近学生の眼にうつった保健所とは,どういうものであるか,とくに保健婦に対する考え方から今後の看護学生の実習のあり方なり,また私たち保健婦としての活動の方向について,考えさせられるものがありました.本年は従来の実習計画の上に,看護学生の病院に入院治療をうけて退院した患者について,家庭訪問する計画を立ててみました。それによって看護学生自身が公衆衛生活動,とくに保健婦活動の一端を体得してもらおうと考えたからです.とくに保健婦とはどういうものであるのか,学生は記録の中でつぎのようにいっております.
「家庭訪問は3歳のヘルニアの男子を選びました.入院中の経過もよく何も問題がないと思って訪問の計画がたちませんでした.前にその母親が乳腺炎で私たちの病院外来にきていることがわかったので訪問することにしました.訪問の目的は,ヘルニア(3歳)の患児について躾や性格的な問題で困まったことがなかっただろうか.たとえば,甘えん坊とか,白衣恐怖症になっていないだろうか,と幼児の生活状態を知るためです.母親に対して清潔について観察指導するつもりでした.訪問すると母親は不在でおばあさんらしい方がおられました.訪問してわかったことは6人家族で,祖母,父母,子ども3人の家族です.坊やは末子で保育所に行っているそうです.
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