保健婦風土記
内海から日本海へ/兵庫県—ベコの診察を頼まれた保健婦
仙賀 ますみ
1
1兵庫県明石保健所
pp.53
発行日 1964年2月10日
Published Date 1964/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203046
- 有料閲覧
- 文献概要
標題が示すようにわが兵庫県は,波静かな瀬戸内海から遠く幾山河を隔てて,秋たけなわの行楽シーズンの今日このごろ,すでに荒寥たる冬のたたずまいに冬眠する但馬地の,怒濤鳴りやまぬ日本海へと通じているのです.但馬地区が白一色におおわれて,ものうい冬眠の暮らしの中にいる厳寒2月,暖流ただよう南の淡路島には春にさきがけて水仙の花が咲き乱れるというありさまで,単に気候風土の隔たりだけではなく,広汎な地域だけにそれぞれ人情風俗,あるいは産業,経済,文化の面においても異なるところがあり,格差もあるというわけです.
先年東京での私たちの集まりで,隣りにいたある府県の参集者が,「日本発祥の地だという淡路島に1度行ってみたいと思うのですが,あの島にも保健婦さんはいらっしゃるのですか?」というお尋ねを受けて驚いたことがあります.鉄道地図の上ではそんな気もするのかもしれませんが,人口4万6千の洲本市を始め,島内には3カ所の保健所があって大勢の保健婦さんたちが活躍しているし,島の中心である洲本市から南淡の福良までは電車が走っている話をしたところ,今度は逆に尋ねた人がびっくりしたことを覚えています.淡路島1つにしても都会地あり,純漁村,農山村というふうに保健婦活動のあり方もなかなか多種多様なのです.
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.