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農民生活
大牟羅 良
1
1「岩手の保健」編集者
pp.41
発行日 1963年12月10日
Published Date 1963/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202993
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県の国保連合会に身をおき,雑誌「岩手の保健」の編集に携わって13年目を迎えた私ですが,そんな仕事を通して,また,町村の保健婦さんたちの話などききながらつくづく思うこと,それは私たちの仕事はいかにむなしいものであるかということです.というのは,たとえば乳幼児の保健対策について,いくら農家の母親たちに働きかけても,それが容易には受け入れてもらえない,いや,母親たちにしてみれば受け入れたいことは山やまであるにしても,受け入れにくい条件があって,結局私たちの努力がむなしい結果に終わることが多いのです.もちろん受け入れにくい条件の中には,経済問題,労働問題――余暇の乏しさなどがあるのでしょうが,それよりも農家に多い複雑な人間関係――2夫婦,3夫婦といった家族構成からくる問題があるように思うのです.
私は雑誌編集者である関係で,農家の人びとからの手紙――それには苦しい家庭生活の訴えが多いのですが,つい4,5日前,ある若い嫁さんからこんな手紙をもらいました.「――自分の子供でありながら,姑さんやその他上の人びとがおれば,とても私の思うようなしつけなどできず,嫁である私にはとても困ることのみ多い毎日です.母乳が出なくて一苦労しましたが,今はヨチヨチ歩きですので,家のまわりに流れが多いし,事故でもおきたらと心配です.
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