綜説
農民と自殺
柳沢 文徳
1
,
松崎 泰夫
1
1東京医科歯科大学医学部農村厚生医学研究施設
pp.411-418
発行日 1963年8月15日
Published Date 1963/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401202696
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はじめに
第23回日本民族衛生学会のシンボジアムとして,東北大学高橋教授は「青年期の自殺は減少できるか」という課題をとりあげられ,各専門分野の立場から種々の意見がのべられた1)2)。同教授は,そのシンボジアムのしめくくりとして――また一面から考えると,カンセリングは確かに自殺予防の一つの手段であるが,或る意味では対症療法的意義より持たないように思われる。さらに根本的手段を追及するためには,その疫学的研究が深く堀り下げられる必要があろう――とのべている。自殺の疫学的研究は福島3),高橋4)5),石田5),越氷7)田多井8)等の研究があげられるが,これらによって,種々の自殺を引きおこす諸因子が判明せられつつある。とくに渡辺定博土9)の論文は自殺の予防処置について,多くの問題を提供しているし,多くの多方面にわたる学者の見解を要約されておる点で注目すべきである。
また自殺者の職業別に疫学的の考慮をしたという意味できわめて重要であると考えられるのが,福島3)の研究である。
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