特集 ガン対策の現状
乳ガンと授乳
助川 幡夫
1
1賛育会病院産婦人科
pp.45
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202971
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乳ガンは外国人には多く日本人には少ないといわれている.実際に諸外国の統計をみても,人口10万人に対する死亡率は,日本の3.2に対して米国18.5,英国18.7と欧米各国では日本の約6倍の死亡率を示している.ところが,日本における最近40年間の乳ガン死亡の推移をみると,死亡実数において約1,400人と3倍に,また死亡率も約2倍に増加しており,その増加率は女性における各種ガンの中で最もいちじるしく,このように乳ガン患者が外国なみに増加してきていることは注意すべき現象である.
乳ガンの原因ははっきりとはわかっていないが,晩婚者,未産婦,分娩回数の少ない人に多く,また授乳が不十分であったとか,早期離乳をした場合には乳ガンになる頻度が高いことが認められている.したがって,日本において最近乳ガンが急増しているのは,外国のように授乳をせずに人工栄養にたよる人が多くなったためではないかと思われる.
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