研究報告
母子健康センターをどう運営するか—愛知県の現状を見る
伊藤 雅夫
1
1愛知県衛生部
pp.51-55
発行日 1963年11月10日
Published Date 1963/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202974
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はじめに
近年乳児死亡率はいちじるしい減少を示して来たが,地域的には相当の開きがみられ,昭和36年を例にとってみても1),全国が28.6(出生1,000対)と30の線を割ったにもかかわらず,岩手のように46.0といった高率の県がある一方,東京のように20.6と欧米の永準に達している府県もある.また乳児死亡の原因をながめてみても「B3.梅毒」,「B41.先天奇形」,「B42.出生時の捐傷・分娩後窒息および肺不全拡張」,「B44.その他の新生児固有の疾患および性質不明の未熟児」など主として出生前および出生時の原因によるものが48.5%をしめ,かつてのように肺炎,胃腸炎などといった感染による疾患は漸減の傾向が認められている.また,乳児死亡の改善に比べ,妊産婦死亡の改善のあまりよくないということは周知のことがら2)である.
このような事情から,今後の母子衛生を進めるに当っては,もっとキメのこまかい行政を行なわなければならなくなってきている.その1つとして,今まで,乳児は乳児,幼児は幼児,妊婦は妊婦,お産はお産と,とかくバラバラに行なわれがちであったこの種の仕事を,妊娠・分娩・産褥,胎児期・新生児期・乳児期・幼児期と一貰して行ない,しかもその対象が妊産婦・乳幼児であるところから,できる限り小地域を単位とした活動が望まれるようになってきている.
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