研究報告
未熟児のその後の発育(体重)推移
鳥谷 虎一郎
1
1兵庫県赤穂保健所
pp.49-53
発行日 1963年10月10日
Published Date 1963/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202952
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1.まえがき
未熟児として生を受けた子どもの,その後の発育の推移については,医療あるいは公衆衛生関係者の一般的興味をひくところであるが,誰よりもその両親の最も懸念することであり,また世の人びとの関心事でもある.戦後いちじるしく改善をみたわが国の乳児死亡率の中で,新生児死亡,特にいわゆる未熟児死亡の占める割合いは約40%といわれ,依然として乳児死亡最大の課題であろう.
未熟児対策は,その死亡を論議する前に,未熟児出生の予防をはかることが最も賢明であることは論をまたないところであるが,その医学的成因の不明確さから,予防可能性にまだ確信がもたれていない面が多い。未熟児出生頻度は,従来諸家の報告では,7〜8%といわれていたが,昭和35年,36年度の全国統計からみると,いずれも約4.2%となり,一見減少しているかにみられる.しかし,前者は研究者の調査成績によるものであり,後者は届出制度から割出したものであり,届出がどの程度励行されているか疑問の余地もあり数字そのままの楽観はできないであろう.妊婦検診,保健指導などの普及化が確かに良い影響をもたらしていることは考えられ,また,本年度から実施されると聞いている妊婦死亡対策としての妊娠中毒症対策は,未熟児出生予防の点でもある程度の貢献が期待されよう.
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