特別レポート
在胎期間を考慮した未熟児の発育について
藤井 とし
1
1都立築地産院小児科
pp.32-35
発行日 1967年4月1日
Published Date 1967/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203379
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未熟児の問題が広く取りあげられるようになってからすでに10年以上になり,発育・栄養・疾患など各方面の研究はすすめられ,めざましい成果があげられている.未熟児とは出生時体重2,500g以下をいう.ことに1950年WHOの勧告によって定められ,現在までこの定義に従って用いられてきた.ところが2,500g以下という体重のみによる定義にはいろいろと不都合が感じられる.すなわち在胎期間について,あるいは胎内の発育なども考慮せねばならない.1961年WHOExpert Committeeでlow birth weight infant(低出生体重児)という言葉を用いる方がよいだろうと提案され,未熟児という聞き馴れた言葉から次第に低出生体重児に変わりつつある.
日常接する未熟児のなかには,在胎期間に相応した体重のある,すなわちbalanceのとれた未熟児もいるが,在胎が満期で正常であれば3,000gくらいあるべきところを2,500g以下の10カ月未熟児,あるいは満期産未熟児と呼ばれる児に接することもしばしばある.満期産未熟児で2,500gに近かい体重であれば,一般に早産未熟児より育ちやすいという印象を持っている.
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