読者からの手紙
まず自分の幸せをみつめることから
今井 浩子
pp.5
発行日 1963年8月10日
Published Date 1963/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202890
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保健婦学校へ入学してから3カ月あまり,どうやら1年間の自分なりの生活の基礎ができ,じっくりと腰を落ち着けようという気分になったのも最近のこと,もう夏の太陽がまぶしく照りつけるころになりました.月日の流れの速さを感じつつ,入学以来,一人の保健婦学生としていかに生きるべきか,いろいろ考えさせられた毎日でしたので,その3カ月も私にとってはひじょうに貴重な体験であったように思われます.そして今後残り少ないこの学生生活をより意義あるものとして過ごすためにも,日ごろ考えていることをまとめて,みなさまのご批判を仰ぎたいと思います.
看護学生時代にも考えさせられた問題ですが,保健婦学生になって特に強く感じることは,専門職というか,保健婦ならびに他の職業人の職業意識という問題です.この道に生涯をかけて現在も指導をとっていられる方がたの中に特に強く感じることがあるのですが,往々保健婦である,看護婦であるということが全部で,根本としての人間という共通意識を喪失していることです.私たちは一人の職業人であると共に,現代社会に生きる一人の人間であることを忘れてはならないと思います.一人の人間として幸福を追求する態度,それはある意味でエゴイズムとも評価されるかもしれませんが,自分が幸福でなくてどうして他の人びとに奉仕することができましょうか.
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