特集 多胎児と家族への支援に取り組もう
育児支援
母親が直面するステージ別の多胎育児の困難―身体的・精神的・経済的負担と社会からの孤立
平石 皆子
1,2
HIRAISHI Minako
1,2
1日本多胎支援協会
2山形県立保健医療大学
pp.1265-1268
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000318
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はじめに
双胎妊婦が双子を妊娠したとわかったときの気持ちを調査したところ,「不安」と回答した者がもっとも多く,「うれしい」と回答した者を上回ったという報告1)がある。医療従事者は多胎妊娠の診断時に多胎妊娠・分娩のさまざまな合併症の可能性を考えるが,一般の妊婦も自分自身が多胎妊娠と知って漠然とした不安につながることがこのことからわかる。多胎の妊娠・分娩経過はさまざまな合併症のリスクがあり,早産などの妊娠・分娩経過に起因する新生児のリスクや,多胎独自の合併症に起因する新生児のリスクがある。これらを回避する,もしくは最小限にするために医療介入やケアが行われるが,多胎家庭にとってはその後の育児でもさまざまな困難が待ち受けている。それは,身体的負担のみならず,一息つく暇もない育児をくり返すなかでさらに孤立感が高まることでの精神的負担,育児にかかわる支出が同時に2倍・3倍になることの経済的負担もあり,単胎児の育児とは比較にならないほど負担が大きいものである。
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