特集 保健所保健婦
地区の要求にこたえる働き方をめぐって
保健指導を考えなおす
訪問緊急度の問題点
松野 かほる
1
1国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.46-48
発行日 1963年3月10日
Published Date 1963/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202777
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保健婦は,管内の全世帯に十分な家族保健指導を実施し,地域全体が常に健康生活を維持しうるように導くのが最も理想的な形態であるが,人的あるいは業務量等,種々の制約により,結核患者,未熟児,あるいは健康相談に来所した結果とくに指導を必要とする者,等々保健的要求の高い世帯に対してのみ実施しているのは周知の通りである.ところが制約の強い所においては,この対象をすら十分に指導しえぬ現状である.したがってこのような場合如何なる方策をこうじたら制約の枠内で最も効率的な動きができ,速かに公衆衛生の目的に沿いうるだろうか……を考えるのは当然のことであろう.ここに1つの打開策として検討されたのが家庭訪問の緊急度ということである.すなわち限られた労働時間,限られた人的資源の中で最も効果をあげるには業務をどのように配分したらよいかという考え方である.
結核の面ではすでに結核患者管理研究委員会から病状を軸とし,療養状況,家族状況などの条件を加味し区分した訪問緊急度が報告され,全国保健所のほとんどがこれを使用している.また乳児にしても,緊急訪問の対象はまず未熟児であり,その他体重や児の続柄などを中心に,考慮された訪問が行なわれている.
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