特集 保健指導と視聴覚教材
開拓地の家族計画指導—実施者のみを対象でなく家族の協力が必要
大西 若稲
1
1稚内市営農指導所勇知支所
pp.50-53
発行日 1962年11月10日
Published Date 1962/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202696
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家族計画指導でどう教材を使つていられるのか,北海道の原野で活躍される開拓保健婦の立場から,異色の報告をいただきました.
"大西さんに御伺いしたいことがあります"家族計画の集団指導を一応終了し,個別相談に移つて行こうとした時であつた.何時もの時間の持方でこの機会に個別相談のある人々は席に残り,他の人々は席を去るのが習慣なのである.しかしその日は誰一人立ち去る人はなく,整然と坐つている,その約60人近くの人々の中から,緊張したいくらかのふるえさえ含まれた声が突然発せられたのである.何故か一座はシンとして琴の糸をはりつめた緊張と冷たい空気が漲つた,と想つた瞬間,口々に何かを叫び合う声が雑然と室内を右往左往し始めた.口々に何かをいつているのではあるが,聞きとれない.
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