特集 公衆衛生の分野における国際化
《機関・団体》
家族計画国際協力財団の歩みと活動
吉田 成良
1
Shigeyoshi YOSHIDA
1
1家族計画国際協力財団事業部
pp.38-40
発行日 1981年1月15日
Published Date 1981/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401206227
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■財団設立の経緯
1.世界の人口・家族計画事情と日本
わが国は,戦後混乱の中から自ら生きるため,官民一体となって家族計画を推進し,1960年代には,早くもその成果を上げ,出生率,乳幼児死亡率をドラスティックに低下させた.この急激な出生率低下は,家族計画事業の成果ではあるが,わが国の家族計画事業はただ単に受胎調節の指導普及のみでなく,広く公衆衛生や母子保健の諸事業と相互補完することによってすすめられ,成功したものであった.当初,とかく海外からは,出生率の低下と受胎調節の普及のみが単純に評価されがちだったが,最近は,こうした公衆衛生,母子保健事業との関係において評価されるようになり,それは,今日の世界のテーマである〈ベイシック・ヒューマン・ニーズ〉や〈プライマリー・ヘルス・ケア〉の充足を目指した考え方からも,非常に高い評価を得るようになってきている.したがって今日,人口・家族計画プロジェクトを何らかの政策で採用する開発途上国はもとより,これを援助する国連人口活動基金(UNFPA),国際家族計画連盟(IPPF),国連児童基金(UNICEF),世界保健機構(WHO),世界銀行(IBRD)などの国際機関や先進国から,わが国の経験事例を伝播するよう要求されているのである.
1963年,インドのニューデリーで「第1回アジア人口会議」が開催されたが,この頃から,海外の人口・家族計画関係老が引きも切らず来日する,という状況になる.
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