口絵
キューバの保健事情
pp.6-8
発行日 1962年11月10日
Published Date 1962/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202682
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キューバの子どもたちは,現在世界でも,最も幸福な子どもたちである。4年前まで,つまり現在のカストロ革命政府のできるまでは,代々の政府の悪政の下に子供たちは,誰からも省りみられず,非人間的な生活を送っていた。親たちーキューバ人の大多数がお話にならぬほど貧しかったのだ。
もともとキューバは,土地が肥沃で,あらゆる作物に適していたにかかわらず,アメリカの砂糖大資本家とキユーバ人大地主によって、土地の大部分は所有され、もうけだけ考える砂糖単作植民地経済によってしばりつけられていたからである。一年のうち,半年位は、砂糖産業を軸として,住民の経済生活は活気を帯びる。その時期がすぎると死の季節になる失職し。あるやなしやの賃仕事をさがし求め,食物も灯もなく,空腹をかかえてすごさねばならなかった。このような状態で彼等の住いは椰子の葉でふいた,床は土の,水道,電灯はおろか,農村住宅の54%は便所もないというみじめさだった。靴もない子供たちの足のうらから寄生虫が体内にはいこみ,苦しみながら死んで行く子供たちはどれほど多かったことか。マラリヤ,結核,梅毒などにかかっても大部分のキューバ人は医療を受けることができなかった。
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