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検便の理論と実際(2)
横川 宗雄
1
1千葉大学
pp.61-64
発行日 1962年3月10日
Published Date 1962/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202535
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<直接塗抹法による虫卵の検出率について>
第1編において蛔虫,鉤虫のごとく小腸上部に寄生するものでは,その虫卵は糞便内に均等に分布しているとのべたが,守屋氏(1956)によれば,鞭虫のごとく,腸管の最も下部すなわち盲腸部に寄生していても,その虫卵の糞便内の分布型は蛔虫,鉤虫のそれのごとくポアッソン型にもつとも近いという.すなわち鞭虫卵のごとく糞便内に混和される機会が,他の腸管内寄生虫卵に比してもつとも少ないと思われるものでも,実際は糞便内に比較的均等に混和されているということである.
したがつて先にあげた腸管内寄生虫卵(日本住血吸虫卵は保留したい)は,ほとんどすべての種類において排泄糞便内に連続的に分布していると考えられるので,有形便では,検査材料を糞便のどの部分からとつても常に同一の虫卵検出率が得られるはずである.
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