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1961年の風水害
J.H
pp.57
発行日 1962年1月10日
Published Date 1962/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202499
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昨年の台風の中で室戸二世といわれる台風18号が近畿地方に与えた被害は予想以上に大きかつた.アッというまにドロと化した大阪のビル街に,高潮のもちあげたハシケが自動車とならんでいる珍妙な写真をみたとき,これでも近代都市かと,今更のごとく底の浅い戦後復興のヒズミを嘆かずにはいられなかつた.
それはともあれ,昨年の台風被害の特徴は,比較的新しい建築物がめだつて全半壊したことと,スレートぶきなどの公団住宅が大きな被害を受けたことであるという.老朽化した建築物の損壊なら話はわかるが,なぜ新しい建築物が多くの被害を受けたのであるか.大阪府建築部の話では,「最近の建築資材や工賃の値上がりでとかく不良建築がふえ,一方ではヤミ建築が急増しているためだ」というが,はたしてそれだけの問題だろうか.
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