座談会
1961年の公衆衛生の段階(続)
石垣 純二
,
上田 喜一
1
,
西川 滇八
2
,
橋本 正巳
3
,
松浦 利次
4
,
村中 俊明
5
1東京歯科大学
2日本大学
3国立公衆衛生院衛生行政部
4東京都玉川保健所
5厚生省公衆衛生局企画課
pp.46-58
発行日 1961年2月10日
Published Date 1961/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202274
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〈成人病に対して何もしない公衆衛生〉
石垣 ご承知のように,こんど国保の保健施設の大きな通牒が出た根本は,公衆衛生が本当に国保の必要とする風邪引きとか腹痛とか神経痛という対策に何もしてくれない,結核ばかりやつている.だからわれわれは自力でやるのだというのが最初の出発でした.それで妥協しましてね.協力してやるというところで落ち着きましたけれども,とにかく最初の出発には非常に公衆衛生不信論があつたわけです.国保の本当のニードに合う仕事をしてくれないという気持ちがだいぶあつた.そこで成人病のことを少しお話し合いをして頂こうと思うのですがね.いま死亡の53%が成人病なんですけれども,成人病については現実に公衆衛生は何もしてないのです.ですから国保から言いますと,一番たくさんの人が死んでる成人病について,生命尊重を称する公衆衛生は何もしないじやないか,こういう気持ちがあるのです.その問題を母子衛生と合わせまして,西川先生いかがでしようか.
西川 3年ばかり前に神奈川県下のある保健所の管内で,40歳以上の人を対象にしまして,成人病調査をやつたことがございます.40歳以上のすべての人に保健所で今度こういう調査をやる,貴方がたに病気があるかどうか検査する集団検診だから,是非きてほしいというように保健所の指導員を通じて,3カ月位前から直接間接に連絡をとつて検診したのです.
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