特集 第4回国保保健婦講習会のすべて
ポリオの看護
壁島 あや子
1
1国立東京第一病院小児科
pp.95-102
発行日 1961年11月10日
Published Date 1961/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202452
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◇はじめに
すでにポリオ(Poliomyelitis)は,昨年の北海道夕張市における大流行以来,社会の大きな問題として,その予防,治療にあらゆる対策が考慮されてまいりましたが,ここ最近,生ワクチンの使用によつてポリオも一段落したかの観があります.しかし幼児をもつ母親のポリオに対する恐怖は相変わらずで,夜間わが子に熱が出ればすぐポリオを疑い,寝ている子の四肢をそつと動かして麻痺の有無をたしかめたり,なおそれでも不安で熱のある子を背負つて夜中病院の急患室を訪れ,医師から扁桃炎などと言われてやつと安心する親たち…….私はこんな時,これらの親たちを単なるポリオノイローゼなどと片付けられない切実なものを感ずると同時に,私たち医療に従事するものは,ポリオに対してもつと正しい知識をPRする必要があると思う次第です.
では,なぜポリオがそのように恐れられているかといえば,それはポリオが他の伝染病と異なり,麻痺という後遺症を残すことでありますが,母親の不安の基底をなしているのは,やはりなんといつても,ポリオがどんな病気であるのか,もしポリオに罹患したら麻痺はどのような経過をとるのか,また予後はどうかなどという知識が乏しいところからきているのではないかと私は思います.またそうかと思えば,手遅れに近い状態になつてから入院したり,急性期をすぎて退院してから,麻痺に対しての正しい治療が行なわれなかつたり…….
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