特集 第4回国保保健婦講習会のすべて
地区におけるヘルス・ニードとその発見—地区の公衆衛生的診断の考え方序説
田中 恒男
1
1東大医学部公衆衛生看護学科
pp.63-84
発行日 1961年11月10日
Published Date 1961/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202448
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1:はじめに
市町村のそれぞれは,さまざまな特性をもち,いろいろ異なつたヘルス・ニードにあふれている.そこで行なわれる保健活動としては,行政的な(いわば画一強制法の性格をもつ衛生法規にのつとつた)活動のほかに,地区独特の衛生問題に対しても何らかの形で解決をはかつてゆく必要がある.しかし,私が見た多くの市町村では,ともすれば中央で問題になつた問題にだけくいつき,地区のヘルス・ニードが本当にそこにあるかどうか,反省する機会が少ないようにみえる.
地域(地区ではなしに)の発展段階に応じて,保健上の問題がいろいろに変わることは当然のことであるが,それを無視してまで,いわゆる成人病の問題,精神衛生の問題などにだけ集中しようとする傾向は,けつして健全なものだとはいえない.いまさらながら,マス・コミュニケーション(?)の力の偉大さにおどろく次第である.
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