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女のからだとこころ(8)
阿部 幸男
1
1読売新聞婦人部
pp.49-50
発行日 1961年10月10日
Published Date 1961/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202430
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女は感情の動物である(1)
女は感情の動物である—というと,いささか誤解をまねきやすい.人間は感情の動物である.こういい直せばだれからも文句が出ないところですが,本論が,"女"を標題にしてあるから,かくは人間を女と代えただけです.同時に,同じ人間でも,男に比べると女の方が,どうも感情が豊かで,従つて,感情的になりやすい傾向が多いことも肯定していないわけではありません.
いささか弁解めいた前おきがややこしくなりましたが,実はこの"女のこころとからだ"の中では,「女ばかりけなしてけしからない.まるで男は完壁そのもののようないい方ではないか」という非難を受けたので,どうも筆が途迷いがちなのです.こうした非難を浴せかけてきたのは何をかくそう,私の妻ですが,そのとき私は「女のことを書いているのだから,一々男の方まで引き合いに出しているわけにはいかない」と弁明しました.しかし,考えてみると,妻のいいぶんももつともな点がないでもありません.
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