Coffee Break
校正と誤植
竹本 忠良
1
1東京女子医科大学成人病センター
pp.89
発行日 1998年1月25日
Published Date 1998/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103554
- 有料閲覧
- 文献概要
単行本が文庫に入るときには,最小限でも,誤字などの訂正が行われるし,なかには一章ぐらい追加されることがある.解説もつくのも普通だから,後々,決して油断できない.
垣芝折多著・松山巌編「偽書百撰」という奇書が,このたび文春文庫に入った.この第1章に,“本は山の如く積み重なり,読もうと思うものも探せず,しかたなく同じ本を本屋に行って買うハメに陥る”とあるが,私なども,同じことをやっていて,文庫本など探すより買ったほうが早いのである.この間も,丸山真男の「日本の思想」(岩波新書)が4冊も出てきた.この文庫本の解説は,池内紀で,洲之内徹のエッセイ集「さらば気まぐれ美術館」の中に“誤植の効用”があると書いてあった(339頁).さては,誤植にどんな効用があるのかと,洲之内徹の本を探すのに多少の苦労をしたが,読んでみて誤植に一般効用などないし,人騒がせな主題は迷惑であると思った.
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.