研究
健康相談における1事例
戸沢 澄美子
1
1東大衛生看護学科
pp.40-42
発行日 1960年11月10日
Published Date 1960/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202210
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この事例は,東京大学医学部分院健康相談部に於て,「退院後,特に社会復帰に至るまでの期間,相談・助言が必要」とされ,当分院小児科より当部に紹介・依頼された1例である.
本事例は,14歳の女児で,分院小児科外来にて猩紅熱と診断され,直ちに入院となり,治療したところ経過順調で,1カ月後に退院した.その後,L型連鎖状球菌が検出され,引きつづき外来通院治療が行なわれていたのであるが,臨床所見で尿蛋白陽性,赤血球,上皮細胞,尿円柱がみとめられ,猩熱性腎炎と診断された.そのため退院後3カ月間治療が継続されてきた.その間に,医学的所見に全く治療効果がみとめられず,また,本児は知能障害もあり(東大本院の精神科で癲痛癇の治療を行なつている),本児の言うことにも不明の点が多く,その上母親は継母のためか本児の外来受診につきそつて来ることがなく,家庭における療養状況の詳細がわからなかつた.そのため,小児科受持医が,母親の来院を乞う手紙を再三だしたが,何かと理由をつけて来ないため,特に家庭における療養状況の把握が必要とされ,健康相談部に訪問の依頼があつた.
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