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慢性疾患患者の保健指導
大塚 寛子
1
1東大衛生看護学科
pp.19-21
発行日 1960年10月10日
Published Date 1960/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202185
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慢性疾患を持つ患者の家庭療養指導が,いかに大切なものであるかを,いくつかのケースの実例から筆者は力説している。家庭療養の患者の指導が行なわれないために,患者も家族も,どれだけ間違つた考え方で療養をすすめているか--大きな課題として考えていきたいものである.
医学の進歩に伴い,私達が看護を行なうところの対象もしらずしらずの中に,その性格をかえてきております.今も昔も変ることなく,それぞれの疾患をもつた患者に技術的にすぐれた看護が行なわれる必要があることはいうまでもありませんが,それが手先や口先のもの,例えば"何か患者に直接してあげるところの看護"だけでとどまるならば,現状に於ては到底患者の必要としている看護を全うすることは出来ないと思います.死因統計の上からみても目立つことは,患者のかかつている病気が昔とその性格をことにしていることです.死因順の上位からみていつても慢性疾患に属するものが多くなつてきています.このような慢性疾患をもつている患者,いいかえれば一生自分の病気と共に生きていかなければならない人達には,どうしても従来与えられていた一方的な医療のみではなく,患者が積極的に自分で健康を守り,且増進できるように援助してあげるような医療が必要とされてきております.慢性疾患患者の管理を行なつてゆく場合,患者自身がこのような心構えをもつていることが,管理が成功するか否かを決める「鍵」ともいえるものです.
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