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町村保健婦の喜びを
坂本 秀子
1
1岡山県久米郡中央町役場国保
pp.9
発行日 1960年8月10日
Published Date 1960/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202140
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もうそろそろ緑の山が恋しくなりかけた時,母方のおじ夫妻につれられて,もう一人のおじの家に上京方々挨拶に行く途中,青い自転車のペタルを踏んで保健婦らしい人が私達の横を通りぬけた.「保健婦さんらしいわ」「きっと東京の保健婦だわ」「素晴しいわ」と思わずおばに話しかけた時,「あなたは岡山県の町村の保健婦さんね」と答えられて,「えーそうなの」といつてうな住づいた.このおばさんも,保健婦の存在を知つていてくれると思うことが嬉しかつた.
保健婦の仕事の事となると,つい夢中になってしまつた.「都会って好きかい」の問いに「あまり好きじやない」.訪問に山坂を昇る時は,苦しい事もあるけれど目的地に達した時は,「あーやつぱり来てよかつた」と思う事は度々あると,ついに岡山弁に熱が入つていた.それでも,「楽しそうだね」「幸せそうね」といわれて,私はやつぱり道をまちがつていなかつたと思つた.
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