保健婦の壁
町村保健婦に当局の活動を
田口 久江
pp.50-51
発行日 1953年11月10日
Published Date 1953/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200635
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暑さの爲に怠り勝ちになつていた保健婦活動も,秋風が涼しく頬を撫でる頃ともなれば,又活気を取り戻し,夏から秋へ移る季節の変り頃に流行の病気や,秋の稻の取入れに備え,日常の食生活にも忙がしい活動期に入りました.照り続いた爲に,ひびの入る程乾いた田んぼ道に自転車を走らせながら,新に保健婦活動の難かしさを考えて見ました.そして私と同じ立場に仂く保健婦諸姉の事も,吾吾町村保健婦の一番の惱みは何と云つても充分に保健婦活動の出来ない点にあります.敢てこの誌上をお借りして苦情を述べ立てようとは思いませんが,今一度私達が痛切に感じるのはもつともつとわれわれの身分を保証して呉れるべき当局が積極的に仂きかけてくれない点に不満があるのです.勿論町村に仂く私達も精一杯活動しなくてはなりませんが,一つここで吾々の身分を考えてみましよう.町村に活躍する保健婦は身分は一応町村吏員,又は国保保健婦として勤務しております.しかし実際の活動面では,保健婦の技術は所属管内の保健所長が監督し,保健婦には補助金として県より1/3補助が出ています.この立場にある私達は保健所勤務と違いどれに從つて活動すればよいか本当に迷います.国保保健婦として,国保負担金の滯納整理に出れば保健所より訪問件数を間われ,保健婦本来の仕事を行えば吾々の主任に当る国保係より嫌な顔をされ,立つ瀬もない有樣です.
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