社会の窓
暴力卒業式
阿部 幸男
pp.54-55
発行日 1960年5月10日
Published Date 1960/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202094
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卒業期を迎えて目立つたものに,中学生の暴行,刃傷事件がある、卒業生がかたまつて他校の中学生になぐりこみをかけようとした寸前に補導されたという事件の如きは,学校でヤクザ学でも教えたり,教えられたりしているのではないかと苦笑させられたほどである.
だが,これは笑い事ではすまされない重要な問題を含んでいる.なぐり込み事件は,暴力礼讃的な映画などの影響もあるかも知れない.それさえ問題であるのに,ここ2,3年めつきり増えてきたのが,卒業式当日に,卒業生が学校の先生をなぐるという暴力卒業式である.ことしなどは,数名の卒業生が校長室を占拠し,平素から気に入らない先生を次々と呼び出してビンタを食わせた中学まで現われたという.この学校では,ひたすら事件を伏せて新聞記事になることを防いだそうであるが,一体こういう学校は平素どんな教育をしていたのであろうか.
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