やぶにらみ医学評論
特に保健所に関する幾つかの問題について(その2)
奈良林 祥
1
1都立保健婦助産婦学院
pp.40
発行日 1960年2月10日
Published Date 1960/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662202026
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保健所医師無用論:—
日本の保健所が今のような状態である限り保健所長と予防課長以外,保健所に医者は要らないと思う.といつても所長のいない保健所があつたり,保健所に課という制度すら無くなつている県があるという現状にあつて,所長,課長以外の医師の有用無用などを論ずることが,なにか的はずれのように感じられるかもしれない.
また,ただでさえ,"保健所長は医者ばかりではなく,事務屋もその職につけるようにすべきである"という意見が事務系職員の間から出ている時に,"保健所医師無用"論などをぶつのは大変非常識な話だと思われる方もあろう.だが,私は,ことほど左様に弱体化し,前途に問題を控えている保健所であるからこそ"所長,課長以外の医者はいらない"と考えるのである.そして,私がこういう考えを抱くようになつたのは,私の保健所在職中に見聞きしたり,或いは直接経験して来た「医者と保健婦との間は,どうもしつくりいつていない」という事実をなんとかして解決したいと願うことから始まつていることを,ついでに申し添えておこう.
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