特集 病院建築の新しいデザイン
病院設計の個々の問題・4
病院の階段
大場 則夫
1
1共同建築設計事務所
pp.68-70
発行日 1968年8月1日
Published Date 1968/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541203415
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階段はいうまでもなく垂直方向の通路である。日常的には院内動線の一環として,非常の場合は避難用としてという違いはあるが,廊下と同じように通路であることに変わりはない。
近年,エレベーターなどの機械的搬送手段の普及のため,特に病院では,その日常的役割はかなり低下してきていることは事実であろう。しかし,エレベーターと同様,その垂直性のため,また動線計画上のかなめになるという性格のため,平面計画上各階共通のキイポイントとして設計上重視される。しかしこのことは階段プロパーの問題というよりは,もう少し病院の全体的な設計技法上の問題であって,ここで特に階段が一つの問題点となる"いわれ"ではない。病院の階段について--この廊下と同じように素朴な建築的手段について--設計途上にも竣工後にも,さまざまなトラブルが多いのはなぜであろうか?多少病院の設計を手がけられた建築家には自明のことであるが,理由はただ一つ,建築規準法関係の規制と医療法に基づく規制が,異なった立場で二重規制しているからにほかならない。
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