コンタクトレンズ(4)
垣根をはずすこと
長谷川 泉
pp.23
発行日 1959年8月10日
Published Date 1959/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201919
- 有料閲覧
- 文献概要
垣根は,人が作つたものである.垣根を作るのは,その必要があるからで,その必要がなければ,自らを防禦的にかこつたり,自らに窮屈な制約を加えることはない.融通無碍であつてよろしい.
だが,垣根のない牧歌的な田園風景は,近代社会では望めなくなつているようだ.近代は,すべてに複雑化を要望した.複雑に鎧うことによつて,ようやくわく内の自由が得られるからである.わくをはずしてしまつたら,混乱だけが倍加されそうである.わくをはずし,垣根をすべてとり除いてしまうのは,ユートピアのたわ言であるか.
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.