特集 現象学を語る
【対談・ディスカッションを終えて】
研究方法の垣根を越え,「看護学の知」の山をめざす
山本 則子
1
1東京大学大学院医学系研究科
pp.551-553
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201176
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質的研究方法を初めて学習した大学院生の頃から,現象学はよくわからなくて難しいものだった。にもかかわらず,現象学的アプローチに何度も食いついては挫折するということを繰り返してきたのは,現象学は,「私たちの経験の意味に着目し,意味的現象の発生を明らかにしようとする(榊原,2007)」とか「現象学的共同体(石原,2013)」などという言葉に,看護学の研究者としてどうしても惹かれるものがあったからだ。成書を紐解いたり,ワークショップに出たりしては,よくわからない説明の海の中でおぼれて力尽きる,ということを20年来繰り返してきた。
しかし,ここ数年,西村ユミさんというまたとないガイドを得て,『現象学的看護研究』(松葉,西村編,2014)も出版され,現象学的アプローチが一気に私に近づいてきてくれた気がした。そうして身近になってみると,今度は,これまでやってきたグラウンデッド・セオリーによる質的研究と,何がどのように相違するのかがわからなくなることがしばしばあった。疑問は尽きず,お話をちょっと聞いてはまた考え,ということをしばらく繰り返していた。なので,今回の企画はまたとない機会で,聞きたかったことをいろいろとお尋ねしてみた次第である。
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