特集 精神衛生
結核患者の精神衛生
松野 かほる
1
1結核予防会
pp.21-24
発行日 1958年5月10日
Published Date 1958/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201632
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化学療法や外科療法が発達した今日においても「結核」といえば,まず,長期にわたつて療養しなければならぬ.病気が全治し難い,という事々が考えられる.これらの特徴をもつために,一度結核と診断された者は,一時的にかかる感冒や,腸カタルなどと全くちがつて,人間のもつている,社会的基本的欲求がいろいろな形で障害される事から,様々な精神状態を呈してくる.
精神の安静の重要性という事は,最近特に強調される事であり,肉体の安静を守つても,その精神が常に動揺していたなら決して,療養の効果は上らないと云われている.従つて,患者を病める人間として捉えた場合,病気を治療し,生活指導を行うにも,精神的不調を出来る限りにおいて.予防し,又指導する方向にもつてゆかねば,片手落であると痛感する.
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