討論会
国民皆保健と保健婦(上)
橋本 寿三男
1
,
四ツ橋 稔
2
,
曾田 長宗
3
,
石垣 純二
,
小宮山 新一
4
1厚生省
2国保中央会
3国立公衆衛生院
4川崎保健所
pp.26-31
発行日 1958年3月10日
Published Date 1958/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201591
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皆保険と保健婦
司会 これから国民皆保険についての討論会を行いたいと思う。まず保健婦側からまとめたことを保健婦Sさんから報告します.
保健婦S 国民皆保の問題についてはなし合つた範囲で要点がつかめていない.今日は地方の方が沢山きていられるからまとめたものを出すことはむずかしいが材料として出す.国民皆保はどの観点から考えてもむずかしい.皆様の仕事の中から聞かせていだだきたい.国民皆保になつても保健婦の苦しみはますます大きくなるとおもわれるし,そのような苦しみがそのまま埋れてゆくのでは大変だと考え,東京のグループで研究会を持ち,又近県に働く保健婦さんにもお集りをいただき,仕事場の中のことを聞いた.それらの中からの問題点として大きな点は身分,労働条件というか身分のことだとおもう.アンケートの回答でもあらわれているが,保健所勤務と地域に駐在している保健婦とでは管轄がちがい,国保の保健婦は隣り村との関係はなく甲の村で6,000円で乙の村では9,000円もらつていても全然調整されることがない.結婚をしたり,転勤して新たな村で働きたくても恒例がない.そのようなことで苦しいと聞いた.保健婦も教員のように一括採用になるというか任用される制度だつたらいいのではないかという声が多かつた.これは国民皆保だけではないかもしれないけれども医療行政というかその機構まで及ぶことだとおもいますが,保健婦が声を出さなくてはとはなし合つた.
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