特集 保健婦の身分問題
保健婦の身分の問題
金子 光
1
1厚生省
pp.7-10
発行日 1957年8月10日
Published Date 1957/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201461
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昭和16年に制定された保健婦規則によって業務免許を附与されていた保健婦が,更に昭和23年の画期的制度をうんだ保健婦助産婦看護婦法に基いて,資格免許にきりかえ,国に登録して,専門職保健婦としての身分を確保するに至つたことは,単なる技能職の見地から脱皮して専門職業の取扱いを受けたのでありますから,その社会的な地位の向上は注目すべきものがあるといえましよう.これによつて保健婦・助産婦・看護婦の職業は,医師・歯科医師等の医療に従事する他の職業と同様統一され弁護士,牧師等その他の専門職と肩を並べる社会人となったわけであります.この基本的身分に関しては保健婦のすべては等しく満足しているところなのでありますが,社会人として,実社会に活躍する場合の待遇又は,その所属する組織や機関における身分において,各般の疑問と不満と,不合理とを持つているものなのであって,保健婦の全国組織である日本看護協会保健婦会が1〜2年前から総会時の議題として真劔に討議し,研究しておられるのもこの後者の問題なのであります.
そこで,保健婦の就業条件としての身分,又は公衆衛生行政組織における身分について,昭和16年の当初に逆つてその歴史的な動きについて実態をながめてみようと思うのがこの一文なのであります.従って,これは,保健婦の身分に関する記録を,考えていただければ幸であります.
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