海外文献紹介 The Journal of PEDIATRICS, Vol.96, No.4, pp.641-644, 1980
訳者からのコメント
未熟児哺育への新たな検討
竹内 徹
pp.496
発行日 1980年7月25日
Published Date 1980/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205738
- 有料閲覧
- 文献概要
本論文と同一主旨の論文が,Brown大学から「未熟児の母親から採取した乳汁と母乳提供者の乳汁との成分比較」(Schanler, R.J.,and Oh, W.J.Pediat.,96:679,1980)として同一雑誌に掲載されている。観察は98日間と長期間にわたって行われており,対象,方法などによって結果には多少相違がみられるが,次の点で注目される。すなわち未熟児を生んだ母親でも,生後1週以後になると1リットル前後も搾乳できること,総窒素量は最初の2週間は有意に高く次第に漸減していくこと,Na値も2〜3週で減少しはじめ,3か月間を通じて対照群(成熟児の母親の乳汁)より減少していくことなどが判明している。したがって最初の2週間は,未熟児自身の母乳消費量が少ない点から,もし過剰の母乳があれば,適当な方法で保存しておき,その後ひきつづきその母乳を飲ませるとよいのではないかと考察している。また成長期に入った未熟児では,その未熟児自身の母親の乳汁では,Na平衡が負になる可能性があるので,臨床的にはとくにNa平衡を注意深く検討すべきであろうとしている。Caについては,いわゆる成熟乳よりは3か月間を通じてやや高値を示していたという。
Copyright © 1980, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.