講座
結核患者の転換療法
野村 実
1
1社会福祉法人白十字村山サナトリウム
pp.28-33
発行日 1957年3月10日
Published Date 1957/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201364
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1.はじめに
「なにしろ先生方ときたら,たいてい仕事に追われていますからね.患者を診るにしても,毎朝ずらりとならんだバルコニーをひと散歩して,患老の一人々々と握手してくると,もう容態はわかつたつもりでいるのです.医学的に云つたら,そうなのかも知れません.」
これは小説*にでてくるスイス療養所の風景である.医学的に云つたら,たしかにそのとおり,月に一回カルテをみるだけでも,容態はわかるかも知れない.だから日本では,「毎朝一回の散歩」すら,おしまれている.これは医者の怠慢や非人情だけではない.日本の先生方は,あちらにくらべたら忙しいのである.
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