新刊紹介
—ヴイクトル・フランクル 霜山德爾 訳—「夜と霧」/—文部省初等中学局保健課 荷見秋次郎 千葉県庁保健体育課長 内田 早苗 共著—「学校保健必携」
松本 一郎
pp.37-39
発行日 1956年12月10日
Published Date 1956/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201314
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原名は"Ein psycholog erlebt dasKonzentrationslager"――「強制収容所における或る心理学者の体験」――,それが日本語版で「夜と霧」と名づけられているのは,アーノルド・ワイスリューテルの書名,およびフランスで製作されたアウシュヴィッツ強制収容所の記録映画の題名にならつたのであろう.1941年12月6日に,ヒツトラーは特別命令をくだして,ドイツ軍に対する犯罪容疑者を夜間,秘密裡に逮捕し,強制収容所へ送り,さらにその犯罪は家族の集団責任だという原則から,罪もない女や子供や老人たちまで,家族ぐるみ一夜のうちに殺戮させた.これがいわゆる「夜と霧」Nacht und Nebel命令と呼ばれるもので,この名称はナチスの組織の残虐無慙ぶりを端的に象徴するものとされている.
戦争がはじまつた時に,すでにドイツ国内には六箇所の強制収容所があり,その後さらに幾つかの収容所が建てられたが,戦争の終るまでには,どう低く見積つても,1200万人におよぶ侵略地区や占領地区から連れて来られた男女,子供たちがドイツ人の手で殺されている.
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