講座
痔の患者の保健指導
甕 忠子
1
1東京逓信病院外科
pp.14-17
発行日 1956年12月10日
Published Date 1956/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201308
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肛門部の疾患で悩んでおられる方への家庭療法については,その生理解剖,発病,種類等,北原先生の克明な御説明で指導的方面の役割は十分納得出来たことと思う.しかし,実際にはそうした正しい生理に叶つた生活なり個人衛生なりが守られ難いことが多々あり,こうした療法が出来にくかつたり,実際予防出来にくい境遇のため治療を余儀なくされる場合が多いことは確かである.こうした際,受診または外科的治療に危惧の念をいだかれている方に安心して治療が受けられるよう.精神的肉体的負担を軽減し,もしくは取除くため,受診から入院中に行われる外科的治療の実際を看護の面から申上げ,不愉快な疾病から一日でも早く解放されて気分爽快な保健が維持出来ればさいわいと念じ,適切な処置をうけられるようのぞむ次第である.
肛門部疾患の中には幾つもの種類があるが,そのいずれの場合でも余程決心したあとでないと病院をおとずれない.場所が場所だから,つい薬の広告につられて,ああもしてみた,こうもしてみたがといつてこられる方が多い.こうした自己流の処置をしている期間中でも,排便に際しての激痛や,出血に苦しめられ,あるいは痔瘻の場合など知らず知らずの間に病巣を悪化させる等で,仕事の能率も低下し経済的負担も加わつてくる.
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