講座
急性消化不良症
神前 章雄
1
1日赤中央病院小児科
pp.34-39
発行日 1956年9月10日
Published Date 1956/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201263
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まえがき
戦前と戦後をくらべてみると,小児期に見られる疾患の発生頻度の分布に著しい相違があることがわかる.と同時に,その病像も随分変つて来ている.
その代表的なものの一つとして,戦前では,毎年入梅の頃から始まつて夏の間は,乳幼児の消化不良症の治療に我々小児科医や看護婦は日夜悪戦苦斗したものであるが,近来は育児智識の向上,抗生物質の発見乳製品の進歩発達などによつて,消化不良の数も減り,殊に,これの重症型である消化不良性中毒症が影をひそめてしまつたことは,我が国の乳幼児死亡率の激減に大きな役割を演じているけれども,夏期にはまだまだ何んといつても下痢性疾患の数は多いし,治療の上からも重要な位置を占めている.この点,哺育指導の実績著明なものがあるが,なお一層の努力によつて,発生をくいとめたいものである.
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