保健婦制度15年

　保健婦制度15年という題で，何か書くようにと記者の方から連絡のあつたとき，私は思わず指を折つて数えてみました．保健婦制度が制定されて，すでに15年を経過したということが，なんだか，ほんとのように思われませんでした．その15年の間を，私は夢中で，わき目もふらずに保健婦の道を真直ぐに，走りつづけていたように思われます．全くあつという間に15年がたつた気がします．しかし，落ちついて考えてみますと，この15年間に保健婦が示した進歩は，実にすばらしいと思います．保健婦事業に対する社会の関心が，深まつてきたことがこれを証明しています．

　保健婦制度が制定されたのは，昭和16年の7月10日のことでした．同じ年の2月に，大阪朝日新聞社主催のもとに，第2回保健婦大会が開催され，その際，すでに設立されていた，東京保健婦協会（昭和15年4月設立）から，保健婦の資格を国家で認定してほしいという請願が呈出されました．その請願を15年後の今日になつて読みかえしてみますと，なかなか面白いので次にその概要を書いてみます．