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育児学級の問題点
渡辺 チイ
pp.50-52
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201217
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私達の保健所では昭和26年の2月から指導係,看護係,普及係が一体となつて育児学級(離乳期の乳児を持つ母親のグループ指導)を同月生れの者一級につき毎月一回宛5回にわたつて続けて来た.毎月,1回目から5回目迄の5学級があるわけですでに1000名に近い卒業生が出て居る.中には2児にわたる卒業生もあつて此等の母親達は,子供が幼児期になつてもなお,横の連絡をとりたいと,「お母さんクラブ」を結成して,保健所の援助の下に年2回程のピクニツク,或は講演会等を通して集つている.そして此の会は,栄養講習会等の保健所の事業,広報活動等にも大きな役割を果しているのである.
次に学級の発育成績は第1,2図で明瞭な様に,厚生省の全国の乳児平均体重は勿論 東京都中野地区の乳児体重の平均値に比較して,上位を示している.殊に離乳後期の体重増加の曲線が他のものでは緩いのに対し順調な上昇カーブを描いている.この原因を,"指導の方法が良いからである"と簡単にきめられるであろうか.出生時体重では他と殆んど差はないが,育児学級開始時(6〜7カ月)に既に高いのであつて,級には初めから成績の良い子を持つ母親が入つて来るのが,大きな因子であろう.発音の悪い子を平常の乳児クリニツクでみつけた場合には,学級入りをすすめるのである.
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