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おしゃべりの樂しみ
石垣 綾子
pp.33-36
発行日 1956年6月10日
Published Date 1956/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201210
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女はおしやべりだという。女という字を三つ書けば,姦しいという文字が出来ているほど女のおしやべりは歴史的なものである.男のつくつた文明は,女をからかつて姦しいという文字をこしらえあげたが,男は女のおしやべりに相当する酒を飲んでくだをまく.女のおしやべり,男の酒飲みは同罪であろうと思うが,女のおしやべりは,仲間同志の話し合いに転化させるならば,これも楽しいリクリエーシヨンの一つではないだろうか.
働らく女性は,どんな職場にあつても女であるというハンディキヤツプにいろいろと悩やまされている.脳の中には,もやもやしたおもいが,いつぱいに詰つている.職場での不幸不満は,女に限つたことでなく,男にもある.男性の場合はその不平不満をまぎらわすために酒の力を借りている.
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