講座
予防接種の副作用
福見 秀雄
1
1国立予防衛生研究所
pp.12-18
発行日 1956年4月10日
Published Date 1956/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201148
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副作用が出来るだけ少なく而も力価即ち抗原性の出来るだけ高いワクチンがワクチンとしては優れているものであることは言うまでもない.だからワクチンの改良の研究としては1方ではそのワクチンの毒性を出来るだけ少くしようと励み,他方では抗原性を増強する工夫を考按するのである.それではワクチンの抗原性,力価をそこなう事なくして,その毒性を極力減少するにはどうすればよいか,それには是非ともワクチンの毒性の本質について充分の知識を持たねばならない.
ワクチンの副作用のもと即ち所謂ワクチンの毒性は一体何に由来するものであるか,これは勿論ワクチンの種類によつて種々の場合がある.併しこの点で最も肝腎な点は,その毒性がワクチンの主成分そのものによるか,主成分以外の混入成分によるかということである.即ちもしもその副作用の由来が主成分そのものであるならば,その主成分を取り除くことは出来ないのであるから,減毒法としてはその主成分の免疫能力を障げることなくして,毒性の発揮だけを防ぐ処理が必要であるし,もしもワクチンの毒性が主成分以外のものによるのであるならば,主成分の精製によつてそれを除去する方法がある.
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