読者の声 "保健婦鞄とともに"
ある結核患者の死を読んで
園田 典子
1
1福岡市福岡保建所
pp.74-75
発行日 1956年1月10日
Published Date 1956/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201108
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病気は生活に支配され,生活は又病気に支配される.互に支配し支配される関係にあり病気や怪俄を起している原因の生活を如何にするかが問題である事は近年社会保障制度への目覚めと共に,常にその道の人の頭に在る所謂基本的な概念であると言えよう.
過去の概念で病気や怪俄に対して,医師の診断が下され医師の治療が施されて来たが,病人の体に対する処置であつて生活に対しての処置ではなかつた.体に対しての診断の治療が施されると同時に「生活に対しても加えられねばならない.医学的診断治療に対して,社会的診断治療の施される必要があり,之が並び行われて初めて1人の病気した人間に対して完全な診断治療が為される訳であり,此処に私はこの手記を読んで先ず感じた事は,K医師にしてもS医師にこしても今一度,此のケースに対して反省を求めたいと思う.
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