今月の言葉
月世界の分譲地
pp.9
発行日 1956年1月10日
Published Date 1956/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201090
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月の世界と日本とは,子供の頃のうたや,お話の中にも随分と関連のあるものが多く,小さい時からなつかしまれ,親しまれ,又,あこがれをもつて慕われていたように思います.ところが最近では日本よりアメリカの方が,はるかに現実的に,月の世界とつながりをもとうとしてる様子で,例えば,例の人工衛星だの,空中旅行だの本気になつて貯金している人達もあるということなので驚きます.更に数日前には新聞紙上にアメリカでは,月世界土地分譲をあつせんする会社が出来て,世界中の人々からの申込みをうけているという話.而も日本の一女性が,1エーカー1ドルの月世界の土地を10エーカー買うこととし,申込みをしたところ,写真入りの立派な土地案内書,土地売買契約書,保証書などが送られて来て,それによると,月世界の何とやらに噴火口附近の土地10エーカーを契約したことになつているのであるという.そしてこの女性は実に4千何百人目かの申込者である由.さて,この愉快な話,当の会社の社長某氏曰く「これは私の趣味でして,皆さんにお笑いを提供しているにすぎないのですが。」お笑いにしては,日本向けなど,ちと皮肉が勝ちすぎる.のどから手を出したい程に土地のほしい日本なのだから…….
昭和30年度の国勢調査の集計を,その数字を眼でみて,ギヨツとしない人があつたでしようか?
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